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    #ジャンルごちゃまぜ二次創作やオリジナル小説置き場(21禁)#

    ジャンルごちゃまぜ二次創作やオリジナル小説置き場(21禁)

    愛玩情史

    【ヨリドコロイド】捕食実況中継

    チャットで知り合った男に「こうするとすぐイケるんだ」って首を絞められて、そっから先の事は覚えてない。
    たぶんアタシは死んだんだと思う。
    ガッコはつまらないし親はうざいんで別にいいんだけどー、あの男だけはまぢ殺す。ホテル行ったのに結局金もらってないし!!

    とりま男を探す。見つからん。そんで鏡に映った自分の姿がばりきもい。ヒトの原形とどめてねー。
    メイクも出来んから、こうなりゃキモカワ目指すしかないっしょ。
    ハヤオ?アニメに出てくるオームみたいな体を引きずって、アタシは家に向かった。
    家っつっても安アパートだけど、もう表札変わってて別の人が住んでた。親、とっくに引っ越してるしwwうけるww

    で、気づいたんだけど、アパートの住人も大抵入れ替わってて、それで何か別の部屋からやたらいい匂い。
    甘いふんわりとした香りを嗅いでたら、段々アガってきて、階段をずるずる這って上に行った。
    匂いがどんどん強くなって、とある部屋の前でココダ!と思った。ドアの隙間から楽勝で中に入れた。
    つけっぱのパソの前で、プリン髪のイケメンが鼾かいて寝てた。
    部屋の壁にカレンダーがかかってて、今が平成何年か、はじめて知ってオドロキ。×年も経ってるとか。
    JK殺人事件って、普通にニュースになるよね。。。
    高須さんちの娘さんが変質者に首絞められて死にましたーって、近所で噂になったら、そりゃ親も失踪するわ。先立つ不孝をお許しください(棒
    自分の死亡記事ってちょっと興味あるけど、目の前にパソがあってもこのカラダじゃググれない。

    椅子で眠りこけているイケメンを見て、コレジャナイ。なんでかそう思った。その男をいったんスルーして、隣のキッチンに行った。
    よれよれのワイシャツを着たオッサンが後ろ向きで立ってて、鍋で味噌ラーメンみたいなのを作ってた。
    でも、いい匂いの正体は味噌じゃない。このオッサンの体から匂ってる。加齢臭?違う。とにかくうまそーな匂い。

    コレダ!!

    我ながらラリってんな。そのまま後ろから腰に齧りついてムシャムシャごっくん。リアルな話、イチヂクみたいな味がした。
    なんかなんとなく、アタシはこのために生まれ変わったんだなって思った。人を溶かして食うとか。ゲームで言うスライム?
    オッサンの腰は食われたところが凹んでSの形になってる。目と目が合うと、オッサンはギャッと悲鳴を上げた。
    「あ、あ!?何だ、……あ、が、こ、腰っ!?」
    オッサンは焦りまくって腰を押さえたけど、そんなんでキズがふさがったらバンソーコーは要らないっての。
    凹んだとこから一瞬でブシュッと血が噴き出して、アタシの顔面にかかった。久々に顔射(笑)
    その時アタシの頭の中にあったのは「モッタイナイ」ってフレーズだった。昔ばあちゃんが口を酸っぱくして言っていた言葉、前はピンとこなかったけど、今ならわかったきがすんの。
    あれほどキモいと思ってたオッサンが、今はやけによさげに見える。そんで床にこぼれたオッサンの血を、そのまんまにはしとけないって思った。
    こういうのが多分、モッタイナイって言うんだろう。

    「ん、じゅるるるうるるううううう」

    アタシは舌をすぼめてキッチンの床に零れたオッサンの血肉を啜った。まいう。舌にあまぁい味が伝わってとれびあーん。
    ……てか、舌?いつの間にか舌生えてるし、口も!?

    つかさぁ・・アタシ液体化して、床に這ってたはずなのに、いつの間にか目の位置高くなってる。あ、手足も生えてる!?
    これって。泥ってたはずの体、マッパだけど元の姿に戻ってんじゃん。凄くね?
    ハッ!きっと、オッサン食って栄養つけたからだ。ぱねぇ。肉!うめえええええ!!

    「どうしたんすか、係長?」
    悲鳴と物音に気づいたイケメンが、ふわ~と寝ぼけた声を上げて起きて来た。
    料理をしていたオッサンが床に倒れたので、火にかけっぱなしのラーメンの鍋から白い泡がぶくぶく溢れてた。
    イケメンはキッチンに入ってきて、アタシを見ると、「ひっ」と固まってた。
    「や、山本君、た、たすけてく……れ」
    オッサンがかたほーの手で腰を押さえて、もう片方の手をイケメンに向かって伸ばした。
    「ひぐああぎゃあああ、あああ!」
    イケメンはよくわかんない悲鳴をあげて、三秒で部屋を飛び出して行った。シケター

    アタシは、鍋の火を止めて。食べかけのオッサンを舌舐めずりして見つめた。横に倒れたオッサンの体を起こしてあげた。
    禿げかけのバーコード頭に皺のたるんだ顔。どー見てもキモイオヤジだ。そんでもアタシの食欲はおさまらなかった。
    「……ば、けも……の……」
    ぐはっ。テンプレな台詞。OBKとか。
    アイラインしくじってパンダ目になった時はよく言われたけど。今はすっぴんだし。
    噛み砕いた腰から内臓が漏れててかなりキてるんだけど、ピヨりながらもまだ暴れて頑張ってるのが愛しい。
    メッシャーな頭をぐりぐりしてあげたら、あったかい気持ちがわいてきて普通にこのオッサンを好きになってた。
    「てか、スライムっぽくね?このカラダ」
    ってガチで言葉が出たんで、やたらテンションあがった。
    だって、また人と話せるとは思わんかったし。ビバ自分!食べて栄養つけて、人間の形になれば喋れるんだ。初知り。
    「オッサンが悪いよぉ、そんなうまそーな匂い漂わせて。アタシじゃなくたって誰でも食らいつくと思うー」
    遠くからでもこんなにいい匂いがするんじゃ、アタシが食べなくても、そのうち他のヤツらに食われてた。だからアタシが悪いんじゃない。
    なんていうんだっけ、こーゆーの、ジコセイトウカっていうんだっけ?それでいーや。
    オッサンは顔面ブルーでガン見してる。まさかOBKが日本語喋るとは思わなかったって顔。
    「な、なんで……どうしてこん、こんな、ことを」
    ガクガクブルブルしながらつまらんことを聞いてくる。
    アタシだってわかんない。このオッサンみてるとたまらなく食欲でてくる。食べるって決めたんだから、そーする。そんだけ。
    他に理由なんてあんの?

    アタシはうすく笑って、オッサンの両ほっぺをがしっと掴んだ。
    「ひ、な、な、なにをす……んぐっ」
    くちびる奪っちゃったー。
    OBKになったとはいえ、いっぱしの裸のJKが目の前にいるのに、gdgd言ってんじゃねー。男は黙って勃起!
    味覚がやっぱ変わってんのかな、金でもくれなきゃオッサンの口なんてとーてーも吸えないって思ってたけど、唾液うまうま。
    「ん、じゅるるるる、りゅ、りゅう……ん、ぐっ、じゅるるっ」
    一度啜り始めたら、止まらんかった。マジハラヘリー。
    イケメンがマッポ連れてきたら困るし、なるはや食事を済まさないと。。って思いつつかっぱえびせん♪
    オッサンの肉の厚い唇を噛み噛みして、たっぷり舌を絡めてあげた。オッサンは恐怖で歯をガチガチさせてるマジうける。
    旦那(彼氏のことだお)にするみたいに、オッサンのシャツを優しく脱がした。ビリビリ破けばいいんだけど、オッサンは死に物狂いで抵抗してて、その反応がいちいち笑えたんで。
    「や、やめ……やめ、なさい」
    命令かよ。
    やめるわけないじゃん、こんな美味くて気持ちいいこと。
    口から舌を出して、今度は腰のくぼんだところを舐めてやった。とーぜんだけどオッサンは痛がる。
    「は、ぐげざびっ、だあああああ、あがああ!」
    傷口を舌でぐりぐりしたとたんに、みっともない悲鳴を上げる。色気ねーのー。
    なんかー、処女をめんどがるオトコの気持ちわかったかも。こっちはじっくり味わいたいのに、耳元で痛い痛いって騒がれると萎えるんだけど。
    でも殺してからだと鮮度落ちるよねぇ。さげぽよー。

    そだそだ。噛みつくんじゃなくて、溶かして吸ってやれば痛くないかも?

    教えてもらわなくてもやり方わかった。
    アタシは、自分の肌を溶かして、床についているオッサンの足をドロドロにして、口をストローみたいにして液体の中に漬けて、そんでチューチュー吸いまくった。
    噛みついた腰から出た血と、アタシの体液がまざってイチゴシェイクになってた。
    イチゴミルクシェイクマジうまい.甘くてとろけそー。オッサンは顔が青いままだけど、もう騒がなくなった。
    「どお?痛くないっしょ。もう噛んだりしないからね」
    オッサンはボーゼンとして、消えてしまった自分の足を見つめてた。
    自分のカラダがアタシのカラダとつながって、溶かされてくゲンジツってのを、イマイチ受け止めきれていないみたいだった。
    「あの、こ、これ、なんかその、と、溶けてるようなんですが、も、元には戻らないんでしょうか?」
    って、半泣きになってアタシを見るので、アゲアゲの笑顔で言ってあげた。
    「戻るわけないじゃーん。オッサンは今からアタシに吸収されてなくなっちゃうのです。終わり」
    オッサンはガーンって顔をして、それから口をぱくぱくさせていた。
    目から涙がだーっと出て来た時はさすがにかわいそうかなって思ってたけど、それよかマジうまいこの肉。ちゅるちゅるちゅる。

    でもなんか物足りない。それで思いついた。これ、ネットに上げたら神じゃね?

    「ぷはっ」
    アタシは液だまりから顔を離して、狭い部屋をぐるっと見まわした。
    「ねーねー、この部屋ってデジカメかなんかある?」
    オッサンは、キョドってアタシを見上げた。
    腰から下が溶けかかって、動きも亀ってきてるけど、まだ生きてるとかすげー。頭と心臓が無事なら、ニンゲンって意外と余裕?
    引き出し漁ったらデジカメあった。しかも充電ばっちり、あざまーす。握ったらぬくい。さっきまで使ってたぽい。
    「うぃー。じゃこっち向いて。RECREC」
    マッパでカメラを構えるアタシと、溶かされながらチキってるオッサンの図。これは流行る。
    素で忘れてたけど、死ぬ前は動画サイトにハマってたんだっけ。リアルエドゲインとかhhh

    「な、何を……?」
    「オッサンチョバビすぎ。ちゃけば、ネットに上げるの、これ。それ見てツボった人が米くれるのおもろいよー」
    アタシが神の称号を得るためにオッサンは犠牲になるのだ。ってそのままゃんけヮラ
    言葉の全部はイミフだったかも知れんけど、ひどいことされるのがわかったんだろう。
    「助けて下さい」
    って、オッサンは弱い声で助けを求めてた。汚いヒゲと涙まみれのその顔を、ズームアップした。
    鬼やば何これかわいい。普段からアタシらJKを馬鹿扱いして、身体しか見てなさそーなオッサンが、必死こいて助け求めてる。
    なーる、ヤンデレの気持ちよくわかったYO☆ドSだったんだアタシ。キュン死にしそう。

    「その顔うけるー。助けとかないわー。さっきのイケメンって部下?即行逃げたしヘタレだよね」
    「ど、どうして、こんなことを!私が何をしたとい、言うんですか!か、体を元に」
    うは。敬語モエス。
    ローソクが溶けるみたいに、オッサンの座高はアタシの体液に溶かされて、段々低くなってく。アタシは撮影しながらめっちゃ受けてた。
    デラキモwつーか腕の生えた胸像みてえwそんでまだ喋れるとか奇跡www

    「そだ、おけ。腕残ってんなら携帯使えるっしょ?デンワかけてもいいよ」
    アタシは親切に部屋の中からオッサンの携帯を探し出して、水たまりの中に放り投げてあげた。
    「ケーサツか家族に、助けに来てもらいなよ。ほらほら、早くしないと、溶けちゃうよー」
    アイスクリームかよ!←セルフツッコミ
    オッサンはものっそい早さで飛びついて、テンパりまくりであちこちに電話をかけてたけど、どこにかけても、ガイキチと思われてブツ切りされてた。チーン。
    「う、うう……」
    当たり前じゃん。JKに溶かされかかってますなんてデンワしたって誰も信じないって。わかってて期待持たせるアタシも鬼畜っちゃ鬼畜だけど。
    うまくすれば、もう一匹くらいオトコが食えるかと思ったんだけどな。邪魔も入らず溶かすだけじゃらんつまー。再生数も伸びっこないし。
    あ、そだ。アタシが代わりにデンワかければいいんだ!!
    「オッサン携帯ちょーだい。今誰にかけてたの、嫁?へー結婚してんだ。その顔でやるじゃん」
    アタシは携帯を奪い取ると、「嫁」で登録されている番号にかけ直した。オトコじゃないなら食えないけど、なんかこれはこれで面白そうだって勘がはたらいてた。
    相手はワンコールですぐに出た。甲高いおばさんの声だった。
    『ちょっと、いい加減にして!何度かけてきても、あなたとやり直す気はないから!』

    ちょwww別居中でしたかwwwwww
    オッサンこのアパートに一人で住んでるのか。単身赴任かと思ったら、奥さんに捨てられてました。それで遊びに来た部下にラーメン作ってたとか。
    笑いを噛み殺しながらアタシは、出来るだけ優しく言ってあげる。
    「奥さん?ごめんねー。今ダンナさんの携帯借りてまっす。ダンナさんもうすぐ死にそーだから、話だけでも聞いたげてー」
    アタシが言った途端、オッサンは涙でぐしゃぐしゃになった顔で叫んだ。
    「紗枝!俺が悪かった、帰って来てくれ!助けてくれえええっ!」
    オッサンの声が届いたかどうかはめいふ。ただアタシの声だけは聞こえたみたいで、
    『え。あなた……誰?』
    奥さんはろこつに怪しがってたけど、すぐ切ろうとはしなかった。

    「ちぃーっす、高須イオナでーっす。いまダンナさんの身体もぐもぐ食べてまっす、まいうーーー!!」
    あーノリで本名言っちゃった。まあいっか。編集でカットしよ。
    通話口の向こうでしばらくチンモクがあって、それから奥さんが口を開いた。
    『何の悪戯か知らないけど……あの人とはもう関係ありませんから。切りますよ』
    「えー待ってよ。なんで別れたの?ダンナさん顔はキモいけど、性格は割といじらしくて可愛くね?」
    それはマジで、スライム化してから好みが変わった。イケメンよりオッサンに惹かれるとか、今までから考えたらあり得んし。
    たぶん、このオッサンの身体から出てるフェロモンみたいなのが原因だろうけど。
    奥さんは声を低くして、聞き取りにくい声でぼそぼそと言った。

    『あなた、彼と不倫してるの?なら一つ忠告しておくわ』
    えっなになに?
    不倫とか誤解もいいとこだけどwktk
    『彼は子供を作れない身体で、しかもそれを長い間私のせいにしていたのよ』
    マジすか!?うーけーるー。
    『承知で付き合っているのなら口出しはしないけど、あなたがもし誰かの母親になりたいと考えているなら、その男とはさっさと別れることね。じゃあね』
    ブツっ。
    電話が切られてしまうと、アタシは腹がよじれるほど笑った。
    不妊を嫁のせいにして離婚とかwwまさに単身不妊wwwww

    笑った後で、急にシリアスな気持ちが襲ってくる。で、ちょい真面目な顔(キリッ)をして、オッサンと向き合った。
    「オッサンひどいねー、もっといい人だと思ってたけど自業自得じゃん。サイアクなんだけど」
    同じ女だから奥さんの気持ち凄いわかる。
    やっぱオトコってこういうもんだよね。強い相手には媚び媚びするけど、その裏では奥さんや子供苛めてたりする。
    正直、萎えまくった。もう容赦なしに食っちゃってよくね?こんなやつ。





    「オッサン今の気分どう?」
    アタシは体液の温度を変えてみた。体温くらいだったのを、沸騰したお湯ぐらいの温度にする。その方が早く溶けるかと思ったんだ。
    キッチンの床にクリームシチュー的な肌色が広がって、ポコポコってマグマみたいに泡立ってる。肉が溶けるいい匂い。
    「あ、熱いです……胸から下が、もう溶けかかって……」
    奥さんからの伝言をつたえたら、オッサンは生きる気力をなくしたみたいで、抵抗しなくなった。
    それはいいんだけど、喋ってくんないと実況として面白くなんない。アタシはカメラを回し続けて、おもろいコメントを求めた。
    「熱いってどんなん?風邪ひいたときみたいな感じ?温泉入ってるみたいな?」
    アタシの下半身はもう、オッサンの身体とつながって完全にひとつになってた。これってオッサンのち○ぽ液も吸収したってことだよね。
    口から吸うのをやめて、体全体でオッサンを吸収する。液体の中に、縮れ毛とかが色々浮いたり沈んだりしてた。
    「あ、の……できればもう殺してくれませんか」
    痛いっつーか眠いみたいな表情で、オッサンは言ってる。
    内臓のほとんどが溶けてるのに、生命力ぱねぇ。首だけになってもまだ喋ってるとかどんだけー。
    「なにゆってんの。てかそれだけ元気なら、もっとましなコメント残しなー?食べられてるとこ実況される経験なんて、なかなかできないっしょー?」
    「もう諦めましたので、楽に、なりたい、のです」
    楽になりたいって言うけどさ、じゃあ奥さんはいつ楽になるワケ?ほんと、自分のことばっか。
    心ん中で文句を垂れながらアタシはひたすらオッサンを溶かし、貪る。味は甘いのに心が苦いっていうわけわかんない状態だった。
    「ちょお待ってよ。もう少し話そうよ」
    最初はちょっとかわいそうだと思ってたけど、なんかちがう。うまく言えんけどむかつくわ。
    そういやアタシの父親もよく母親殴ってたっけ。好きでケッコンした相手にどうして酷い事が出来んのか、聞いてみたい。
    あと、子供ができないからどうたらって言ってたけど、オトコがそんなに子供好きなら、とっくに少子化止まってるって。
    つきあってる時は妊娠って言葉聞くだけでイヤーな顔するくせに、ケッコンした途端妊娠しろ妊娠しろとうるさく言いだすのも意味わからん。
    けっきょくあれっしょ、オトコが産んで欲しい時だけ産んで、今は産むなって言われたら即おろすかオトコに頼らず一人で育てろっつーこと?ありえない。
    「あいつの言ってたことは嘘ですよ……俺は不妊なんかじゃない……」
    オッサンは虚ろな目をしてブツブツ言ってた。

    アタシは、最初に付き合ってた彼氏と結婚したかった。一分も離れたくないくらい大好きだった。
    でも遠くに行ってしまったから無理だった。いくらアタシの足が速くても、天国までは追いかけていけない。

    「俺が種なしなはずがない……はずがないんだ……もっと若い娘を嫁にもらっていれば……」
    もしかしなくても、子供っていうアイテムと、自分の面倒をみてくれる相手が欲しかっただけじゃね?
    アタシも大人になればこうなるのかなー。好きで一緒にいるんじゃなくて、生活のために利用するだけとか。
    そりゃアタシだってさんざん悪さはした。どうでもいい男をゴミみたいに扱うのは、全然ムネ傷まない。でも、好きな人にならちゃんと尽くすし、なんだってしてあげたい。
    オッサンはその反対なんだね。ケッコン相手は自分の奴隷だから、何を言っても構わないって思ってたんだ?その辺がどーもアタシとは感覚が合わない。
    子供が減ってるとかゆーけど、ようは、嫁に対してこういう考え方するオッサンの個数を減らせばいんじゃね?
    もしかして、アタシはそのために、こんな風に生まれ変わったのかも。こういう連中を食っちゃうために産まれたのかも。
    だとしたら、これからもじゃんじゃん食っていいってことだよね!!(ぉい

    「どーでもいいけど、30分の動画にしたいから、あと6分くらい持たせてくんない?それと、もっと大きい声で話してくれないと音拾えないっしょ。頑張れー」
    最後に、お○ん○ん溶けてきもちいい~って絶叫させてダブルピースでもさせよっかと思ったけど、なんかそんな元気なさそう。2~3分持つかどーかってとこかな?

    オッサンはうつむいた、つもりだったんだろーけど、首で支える力が残ってなくて、頭がグラグラって傾いて。
    すくうのに失敗した湯豆腐みたいに、ぐしゃっと潰れて動かなくなった笑える。


    「もしもーし、オッサン?聞こえてるー?」


    もう死んでた。







    オッサンを完食すると、アタシは某動画サイトのアカ取って、早速動画をうpすることにした。
    動画タイトルは『JKがおっさんを食べてみた(実況)』で決まり。エロ厨がタイトルにホイホイされる予感。
    あ、いちようグロ注意って入れとかないと。これでよし。
    カタカタカタカタッ、ターン!
    どうよ。タイピング慣れたもんっしょ。しかもハンケツどころか全ケツで椅子すわってんのに痛くなんないしひやっとしないこのカラダちょー便利。

    鍋ん中で伸びきってたラーメン、もしかしたら食えるかと思ったけど、やっぱりダメで吐いてしまった。
    人間のオトコしか受け付けないカラダになってしまったアタシ。便利っちゃあ便利だけど、もう食って寝る以外することないし、これからどうしよっかな。
    んー、動画に米つくまで時間かかるし、おなかいっぱいになったから少し横になろう。
    そう思って、アタシは人間のかたちを崩して、元の液状の姿になろうとした。

    トントントン

    アパートの下の方から誰かが階段のぼってくる。
    いよーに軽い足音だから子供かな?


    ピポピポッピピーポポ ピポピポッピピーポポ

    リコーダーの音が聞こえて来た。
    あれ?このメロディ、どっかで聞いたような?


    ピポピポッピピーポポ ピポピポッピピーポポ
    ピポピポッピピーポポ ピポピポッピピーポポ 


    あっ思い出した。
    でもなんで、同じとこしか吹かないんだろ?

    ガチャ
    玄関のカギ、閉まってたはずなのに開いた。
    アタシは乳首もま○こも丸出しにしたマッパ状態で、入ってきた相手をぽかんと見てた。

    小学生くらいの男の子だった。半ズボンで、手にリコーダー持ってる。
    あのオッサンは子供いない(できない)はずだし、近所の知り合いの子供かな?
    この子を食べる気はなかった。てか人間のJKやってた頃なら、むしろ食いてええええ!って思ったかもだけど。
    なぜって、髪が茶色でさらさら。目がくりっとして、ジャニーズに入れそうな可愛い男の子だったから。
    けど、食欲は湧かない。この子のカラダからは、あのオッサンに感じたようなフェロモンは漂ってこないんだ。
    とりま、近くのカーテンを体に巻いて隠す。オッサンの愛人でも装えばいいか。

    「どもこんちはー。ぼく、リコーダーうまいねえ」
    微笑みかけたけど、ジャニーズジュニア系男の子は入口に立ったまま、クールな目でこっちを見てる。
    …小学生、っしょ?だよねぇ?背ぇちっちゃいし笛もってるし。
    裸のJKが目の前にいたら、少しは焦って欲しいわ。ちょい自信なくすわー。
    「転調のトコ、吹けないの?ほら、ピポポピッポ ピポポピッポ ピーポポッポピポポポ♪」
    結構上手っしょ?こう見えて、歌ってみた動画を上げたこともあるんだから。
    男の子は笑ってくんないし、アタシの聞いたことに答えてもくれなかった。
    てか。。
    なにこの子。恐ろしく目が冷たい。なんか、アタシのことを、人間じゃないみたいな顔をして見ている。
    ぶっちゃけ人間じゃないけど。死んで生き返ったOBKだけど。
    今はちゃんとヒトのかたちしてるし。この子に見抜かれたなんて思えんけど?

    「お前、こんなとこで何してる」
    男の子の出した声は、アタシの度肝を抜いた。
    すご、低い声。マジでこの子が出してるの?

    「なにって……ここのオッサンに呼ばれて来ただけだけど?(てへぺろ」
    アタシがパチこくと、男の子が指を鳴らした。
    開いたままの扉の後ろから、黒いスーツを着たオトコたちがどやどや入ってくる。ぜんぶで六人くらいいた。

    「え、え、ええ?なに、なに?」
    背筋がぞわっとする。やばいこれ。
    本能っていうのか、これはもう逃げるしかないって、思った矢先に、男の子が一歩前に踏み出した。

    「呼ばれただと?嘘をつけ」
    どうしてそんなに怒ってるのかわからないけど、顔が怖い。かわいいだけに。
    部屋の中はいちおきれいに片づけといた。オッサンの食べ残しなんてない。でも、男の子は鋭い目つきをして言ったんだ。
    「捕食をしていたんじゃないのか」

    ひょしょく。
    アタシには難しい言葉の意味がわかんなかった。字で書いてくれればさすがにわかったと思うけどふだん使う言葉じゃない。
    スーツの男たちに隠れるようにして、さっき逃げて行ったイケメンが顔を出した。
    アタシと目が合うと、青い顔をして引っ込める。
    そっか。逃げたと思ってたけど、通報したんだ。やるじゃん。よかったねオッサンいい部下持って。
    つうほう・・・?ケイサツ、ちゃんと仕事したんだ?よく信じてくれたって感じ。
    だってオッサンがデンワした時は誰も信じてなかったのに。アタシの存在。OBK。スライム。人じゃないバケモノ。

    バキッ

    男の子はリコーダーを二つに折った。すげぇ力、と思ったけどよく見たら元々曲がるように改造されてた。
    リコーダーは何回かバキバキって捻じ曲げると水鉄砲みたいな形になって、男の子はそれをアタシに向けた。

    「恩納さん、お待ち下さい。まだ対象と決まったわけでは」
    スーツ姿の男の一人が、慌てたみたいに言う。
    ぇ、このひとなんで、こんなちっちゃい男の子に敬語使ってんの?名前だか名字だかわからんけどさんづけって。格差社会もここまで来たか(いみふ

    「黙れ。俺の勘を信用しろ……証人もいるんだ、間違いない」
    男の子は首を傾けて、チクった張本人のイケメンを振り返った。
    イケメン、真っ青な顔をしてこくこくと頷いてる。
    「こ、こここ、こいつ、です、確かに見ました。こいつが係長を……」
    変な感じ。なにこの男の子。
    どうして大人の男たちが、みんなしてこの子にぺこぺこしてんの。

    半笑いを浮かべて、アタシは後ずさる。とにかくヤバい、逃げなきゃってことはわかった。
    男の子の、リコーダーを改造した水鉄砲みたいなのの銃口が、アタシにぴったりと狙い定めてる。

    やば!
    アタシは素早く液状になって、カーテンの後ろにある窓の隙間からするっと逃げようとした。
    けどそれよか早く、銃からバーって氷の粒が飛び出してきてアタシは凍りついた。

    溶けて逃げようとした形のままアタシは固まり、床にごてっと落ちた。

    「決まりだな。捕食系スライム……この、腐れ外道が」

    土足で近づいてくる、男の子の声が聞こえて。
    すぐに眠くなってきちゃって、もうその後は、わけわかめ。
    もういっぺん死ぬのかどうかも分かんないけど。
    アタシを殺したあの男を探せないのと、あの動画みたひとのコメントが見られないのが心残り?そんな感じ。
    せっかく手間かけてうpしたのにさー。画質がカミッテル言われたかったのにぃ。とにちょームカつくあの糞餓鬼。


    あ、ここまで読んでくれてあとーんす。



    テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学